ハロウィンの夜

5/5

24人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
死なないで、ほしい。 男の子の暗に死を示す言葉が頭を回るなか、私は飛ばされた勢いで閉じていた目を開けた。 開けてみて、びっくりした。 こうちゃんと、別の女の子が、目の前に、いた。 女の子は最近入ったばかりの、金髪が印象的な子だ。 「ナミ!?」 私はどうやってここに来たのか、分からない。 分かるのは。 目の前で、抱き合っているこうちゃんと女の子の関係、と。 男の子が危ないってことだ。 私は知っていた。 こうちゃんが浮気してること。 知ってて、知らないふりしてた。 言わなくちゃ。 進まなくちゃ。 私が 幸せになるために。 夜の公園で、私は涙した。 悲しいからなのか、それとも。 始まりの涙か。 「こうちゃん、さよなら……」 私は弾かれるように走り出した。 これでいい。 前へいかなくちゃ。 前へ進ませてくれた、男の子。 あの子、死んじゃうかも。 そう思ったら、涙が溢れて、止まらなかった。 走らなくちゃ。 助けなくちゃ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加