ハロウィンの夜

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夜9時半。 「はあ……」 私はため息をついた。 シンに送ってもらってから、ずっとこんな感じだ。 彼氏のこうちゃんからメールが未だ帰ってこない。 携帯を握る手も疲れたって悲鳴あげてる。 どうしてかなぁ。 付き合って一ヶ月。 いつもいつも、返事が遅い。 「教えてあげようか」 「うわっ!?」 びっくりして私は飛び退いた。 ピンクをベースにした私の部屋に、何故か病院着を着た男の子が立っていた。 「え、えーと……」 「大丈夫。ぼくはあやしくないよ」 と言われても怪しすぎる。 通報するべきかなぁ……。 「シンの友人さ」 「シンの?」 更にびっくりした。 シンにこんなちっちゃいお友達がいるなんて。 ああ、そうか。 今日はハロウィンだ。 この子、お菓子もらいに来たんだ。 今時ハロウィンだなんて、変わっているなぁ。 「ごめん、うち夜におやつ禁止で、お菓子ないんだ」 そう答えると、男の子は待ってました、といわんばかりの笑顔になる。 うわぁ、イタズラされる。 「じゃあ、ちょっといい?」 「えっ」 そう断りを入れて、男の子は私の手を握った。 あ、冷たい手。
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