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男の子は私と一緒にくるりと回った。
パチリと瞬き、私は目を疑う。
ここ、どこ!?
さっきまでいた筈の、私の部屋ではなく。
真っ白な、寂しい部屋の天井近くに私と男の子は浮いていた。
「さあ、見てごらん」
男の子は指差した。
あ、あれ男の子だ……。
私が見た先には、たくさんのチューブに繋がれた、この男の子の姿があった。
病院のベッドの上で、呼吸ボンベに助けられながら、眠っている。
「あそこから、ぼくを見つめているのが、誰か分かるかな」
男の子は指差した。
そこには、シンの姿。
ガラス越しの向こう側。
シンは静かに、泣いていた。
「彼ね、去年のハロウィンにここに入院してたんだ、ぼくと同じ病院に。盲腸だったらしいよ」
男の子は寂しそうに、私たちの斜め下にいるシンを見つめる。
「自分と同じ日に、入院したぼくを知ってお見舞いに。そのとき、ああして泣いてくれた。ぼくは、こうして幽体離脱したまま、見ていたんだ……」
「じゃあ、君は……」
「もう生きられないかもしれない。その前に、彼の力に、なりたかった」
ゆっくり。
ゆっくり泣いた。
男の子と、私は。
シンの優しさと
男の子の悲しさに
涙した。
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