ハロウィンの夜

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真っ白な病院の部屋で、きっとこの子寂しかったんだ。 「退院するまで毎日、来てくれたらしいよ。今もたまに、お母さんに連絡入るんだって」 男の子はくすぐったそうに、クスクス笑う。 「君は、ほんとうに今幸せ?」 「えっ」 「シンなら、きっともっと君を幸せにしてくれる」 真剣な男の子の表情が、痛い。 心を見透かされてる。 「ほんとうは、知ってるんでしょ」 それが何を指すのか、私は知ってる。 でも、聞きたくない。 「ねぇ、お姉さん。シンに会いに行ってよ。この日、今日だけでいい。ハロウィンの夜、ぼくに見せて。最後シンが笑う姿を」 男の子は、そう言って。 私の手を掴み、くるり、と回った。 「あっ!」 「お願い、ね」 無邪気な男の子の笑顔が消えた。 私はあっ、と思って、手を伸ばしたけれど。 吹き飛ばされた体ごと、その手は届かなかった。
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