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そう言って姿勢を正した彼は、 では、と呟いて話を始めた。 僕は朝起きて気付くと、 何もない白い部屋にいた。 どうしてそこにいるのか、 どうやってそこまで来たのかは 全く覚えていない。 ただ、目を覚ましてみたら僕はそこにいた。 しばらく呆然としながら 状況を把握できないままでいたんだけど、 急に天井のあたりから声が響いた。 古いスピーカーだったんだろうね、 ノイズがかった変な声だった。 声はこう言った。 『これから進む道は人生の道であり人間の業を歩む道。選択と苦悶と決断のみを与える。 歩く道は多くしてひとつ、決して矛盾を歩むことなく』 って。で、そこで初めて気付いたんだけど 僕の背中の側にはドアがあったんだ。 横に赤いべったりした文字で 『進め』 って書いてあった。 『3つ与えます。 ひとつ。右手のテレビを壊すこと。 ふたつ。左手の人を殺すこと。 みっつ。あなたが死ぬこと。 ひとつめを選べば、出口に近付きます。 あなたと左手の人は開放され、その代わり彼らは死にます。 ふたつめを選べば、出口に近付きます。 その代わり左手の人の道は終わりです。 みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、 あなたの道は終わりです』
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