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床にはやはり紙がおちてて、
そこにはこうあった。
『3つ与えます。
ひとつ。右手の客船を壊すこと。
ふたつ。左手の寝袋を燃やすこと。
みっつ。あなたが死ぬこと。
ひとつめを選べば、出口に近付きます。
あなたと左手の人は開放され、
その代わり客船の乗客は死にます。
ふたつめを選べば、出口に近付きます。
その代わり左手の人の道は終わりです。
みっつめを選べば、左手の人は開放され、おめでとう、
あなたの道は終わりです』
客船はただの模型だった。
普通に考えれば、
これを壊したら人が死ぬなんてあり得ない。
けどその時、その紙に書いてあることは
絶対に本当なんだと思った。
理由なんてないよ。
ただそう思ったんだ。
僕は、寝袋の脇にあった灯油を
空になるまでふりかけて、
用意されてあったマッチを
擦って灯油へ放った。
ぼっ、
という音がして
寝袋はたちまち炎に包まれたよ。
僕は客船の前に立ち、
模型をぼうっと眺めながら、
鍵が開くのをまった。
2分くらい経った時かな、
もう時間感覚なんかはなかったけど、
人の死ぬ時間だからね。
たぶん2分くらいだろう。
かちゃ、という音がして
次のドアが開いた。
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