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その日はどこまでも快晴だった。空は蒼い。白い雲が風に押されてゆったりと流れていて、思わずひなたぼっこでもしたくなるような暖かな陽射し。
草原に寝転がって目を瞑ればいつまでも眠れそうな、そんな、気持ちいい日のことだった。
高校生の天川光(あまがわひかる)――つまること僕は、いつものように学校に行って、授業を受けて、家に帰ったらテレビを見たり本を読んだりして、宿題に頭を抱えたりしつつも……眠るときはいつも安らかに布団をかぶる。
それは平凡だけれど幸せだ。いや――それが平凡だからこそ幸せだ。
今日もそうであろうと願い、ベッドから跳び起きて、学校に向かって、昼休みは屋上で昼寝する。僕がもっとも大好きな時間だ。
「おーい、ひかるー。いつまで寝てるのー?」
そんな僕を容赦なく起こす人が居ました。酷いと思います。
「もう昼休み終わっちゃうよ? いつもは優等生なのに、ここだけ不真面目なんだから」
「うーん、ここは気持ちいいから、つい……」
僕はぽりぽりと頬をかいた。一人の女の子と僕自身を除いて、他には誰も居ない。
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