プロローグ…暗躍する影。

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コツコツ。 ここは摩天楼ニューヨーク、繁華街を一歩、裏へと入るとまるで別世界かと思えるほどに 薄暗く、そして静寂が支配する世界。 コツコツ。 そこに響く一つの靴音。 「…おい、あんた」 コツコツ。 靴音の主がゴミだめにもたれ掛かる、ガラの悪そうな男に話し掛けられる。 だが靴音の主は、見向きもせず歩き続ける。 まるで存在すら感じていないかのように。 「おいっ!聞いてんのかっ!」 コツコ…。 ガラの悪い男はシカトされた事に腹を立てたか 声を荒げ靴音の主の背後へと詰め寄る。 すると靴音の主は歩みを止めゆっくりと振り返る。 「あんっ?…女?」 振り返り街灯に照らされた姿は女性だった。 「……」 女性は長身に漆黒のロングヘアー、真っ赤なライダースーツに身を包み 綺麗に整った顔立ちをしている。 それを見た男は一瞬、たじろぐも相手が女性だと分かると さらに強気になり女性の肩を荒く掴み言う。 「持ってる物、置いていけ」 「……」 「早くしろっ、じゃねぇと」 と男は上着から刃渡り10センチ近くのアーミーナイフを取り出すと 女性を威嚇するかのように、ペチペチと女性の頬にナイフを当てる。 「……」 「っ、おいっ!」 だが女性はそれに一切、恐怖などの表情は見せず 汚い汚物を見るような冷めた瞳で男を見る。 「このっ、糞アマがっ!」 男はその視線に激しい怒りを見せ、キレたかナイフを振り上げ女性目掛け振り下ろす。 「……」 「…がぁっ…」 そしてバタンと崩れ落ちる一人の人間。 「…ゴミ虫が」 コツコツ。 崩れ落ちたのは男の方だった、あの時ナイフが振り下ろされた瞬間 何故かナイフは男の首に突き刺さり激しく血しぶきが舞うと 男は何が起こったか分からずといった様子で、崩れ落ち息絶えた。
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