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少年はポケットの中に
ナイフを潜ませている
帽子を深く被り
下を向いて歩く
蟻が巣穴に獲物を運んでいる
小さい体で
自分より何倍もでかい獲物を
そんな様を見て
「小さい者は頑張らなきゃ死ぬか」
っと少年は自潮気味に笑った
街は人で溢れかえっていて
様々な人が行き交う
一人の男が
蟻の巣を踏んづけていった
その後も
何人もの人間に踏んづけられた
蟻の巣は崩壊した
「必死に築きあげた巣穴も簡単に壊れるんだ
壊した当人は気付きもしない
知らぬ間に殺されていくんだ」
そういう少年の顔は
無表情で何の感情もないように見えた
空を見上げると
雲が月を隠していた
流れに逆らうように
少年は皆とは逆の方向に歩き出した
「♪~」
少年は
歌を口ずさみながら
暗闇に消えていった
声には出さない
叫びと共に
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