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「お嬢様や…………」
沈黙を破ったのは、何時の間にか復活していた海斗。
「海斗……すごすぎるよ……」
多分。
いや、確実に《白銀の聖槍》からの復活最短記録更新だよ。ひどい人なんかは半日間意識がすっ飛んで、気がついたら夜だったなんて話もざらにある。
「フッ……美少女現る所に神田海斗ありってな……これくらい、朝飯前なのよ」
…………変態じゃないか。下手したらストーカーよりたち悪いし。
疑惑は確信へ。
海斗が飢えているのは痛いくらい分かった。それはきっと食物連鎖並みに変わらない世の常なのだろう。
「そんな事より……《お嬢様》って?」
まだ名前しか聞いていないのに……一体どうして、何がわかるんだろう。
「オイオイ、それマジで言ってんのかよ?」
意外そうな顔をされ、正直ちょっとショックだった。へんた……親友にそんな事をいわれるのは心外だ。海斗より常識はあるはずだ。「まぁいいや」とおいてから、海斗は大げさな身振り手振りを加えながら説明をしてくれた。
「《上之宮》っつたら、《キセキ》の採掘、開発を行う超大手メーカーだろ?」
「あぁ……言われてみれば、そうだったかもしれない」
うろ覚えだが、確か僕の《キセキ》もそうだったと思う。後で確かめてみよう。
浮き足立った生徒たちを見て、佐野はめんどくさそうに手を叩きながら、意識を自身へと引き戻させた。
「じゃ~上之宮さんの席は一番後ろの窓際で~す。みんなも仲良くするんだぞ~?てなわけで、ホームルーム終了~」
上之宮さんが席に座り、佐野先生が教室を去るとほぼ同時に、自分のやや後ろに人集りが形成されつつあった。
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