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転校生って凄いなぁ。
と、そんな事を呑気に考えながら、背後の騒々しさから逃げるように、かれこれ五分間机にうずくまっている。
「ひかるは……あんまし乗り気じゃないのカナ?そんなに動かなかったら、ナマケモノになっちゃうぞ~?」
突然現れた声の主は、可愛らしく両手を上げながら「がおーっ!」と、僕に向かって笑いかける。つられて、僕も笑ってしまう。
「愛流ちゃんは?」
「質問を質問で返すのは感心しないなぁ。まずはチミから話したまえ!」
「僕は……特に何も考えてないよ。ただ、あんまり一気に押し掛けるのはどうかと思うけどね……」
後ろをチラリと確認すると、巨大なサークルが完成されていた。しかも転校生を一目観ようと、他のクラスからも人が押し掛けてきたので、人気テーマパークのアトラクションを並ぶ時のようになっている。
……勿論、その中には海斗もちゃっかりいる。
「むむむ?その言い方だと人が居なかったら、ひかるちゃんも……?」
「う~ん。正直気になる」
そう言うと、愛流ちゃんの顔から笑みが失せた。あまりに唐突だったので、鳩が豆鉄砲を食ったようになった。
「どうしたの愛流ちゃん?」
「う……う……」
具合でも悪いのだろうか?
「う?」
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