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「大丈夫ですか~?具合が悪いなら無理しないでくださ~い」
「だ、大丈夫です!」
そう言いながら、愛流は右手の親指を顔の前に出して苦笑いを作った。いつもどことなくポケーッとしている愛流だが、そんな彼女に何となく違和感をひかるは感じていた。
「んじゃ……《キセキ》のタイプを説明してくれますね?」
眼鏡をくいっと押し上げながら質問を投げかける佐野を見て、愛流は言葉を紡ぎはじめた。
「えと……《気輝石》と《機騎石》……ですよね?」
「正解で~す!」
佐野先生は白墨をどこからともなく取り出し、黒板に愛流ちゃんが言った単語を並べ、その上に読み仮名をふる。
《ききせき》《ききせき》と。
「え~。天見さんが言った通り、両方とも同音異義語で~す」
「なんでですか?」
「知りまっせ~ん。一番最初に見つけた人にでも聞いてみてくださ~い」
投げ遣りだなぁと感じつつ、ひかるはノートにせっせと板書された内容を写していく。
まるでミミズのような文字で……。
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