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「速いなぁ、海斗。ぜっったい肉体強化してるよ……」
神速とも言うべき速度で廊下に飛び出し、どこぞの先住民ばりに雄叫びをあげながらそのままどこかに駆け出していった。
「…………ん?何だろコレ?」
足元へ視線を落とすと、上之宮さんの座席の下に、藍色の四角い物質が置かれていた。
いや━━落ちている?
近付いてみると、それはハンカチだった。綺麗に折り畳まれていたのだろう……。落とした拍子に形が少しだけ、ほんの少しだけ崩れている。
(さてはて……どうしようかな)
まぁ……届けるのだけども。
藍色のハンカチには、白い刺繍で見事な百合が描かれていた。それをポケットに入れた所で、背後から聞き慣れた声を掛けられる。
「どうしたの?ひかるちゃん」
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