へいへいぼんぼん

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「おっはよ~!」 朝のHR前のざわついた空気の中でも、彼女のその元気な声は響き渡った。 「おはよう、愛流ちゃん」 天見愛流(あまみあいる)。それが、ブロンドの髪を靡かせている彼女の名前である。その頭のてっぺんには、可愛らしくちょこんとアホ毛がたっている。しかし、それ以上……いやいやいやいや。異常に周囲の目を引くのは、特徴的なその服装。 僕たちの通う高校。《朝ノ宮高校》には、制服というものが存在していない。 代わりに、基本私服で活動可能という。ちょっと変わった制度を設けている。そんな中でも、彼女は正に《奇抜》というに相応しい。 「いやいや~元気だったかい?」 月曜日ということもあってか、愛流はテンションを上げてひかると海斗の方へと歩いていく。 「それがよぉ……天見。またコイツ痴漢にあってな、お前からもなんか言ってやれ。こんなのが続いたら、俺が疲れ切って円形脱毛症になっちまう」 ここぞとばかりに、海斗は僕の悪態で愛流ちゃんを熱烈歓迎……。アハハと苦笑いをするしかなかった。 「円形脱毛症はツラいな~。ストレス溜まんないように頑張れ!」 「違う!そこツッコミどころ完全に間違えとるよ!?」 愛流ちゃんの天然は筋金入りだなぁ……。両手を頭に当てながら「オーマイガッ!」と騒いでいる海斗を眺めながら。 「アハハハハ…………はは」 ひきつった笑顔を浮かべることしか、曽根川ひかるに手はなかった。 これこそ、何時もの日常風景。 朝ノ宮高校・一年三組の朝。
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