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不治の病で苦しむ少年が病室のベッドで眠っていると、銀色の防護服を着た人間が、光と共に突然現れた。
彼女は少年の名前を確認すると、一つの薬を差し出した。
『貴方、病気を治したいでしょ?これがあれば、必ず治るわ。その代わり、条件が有るけど』
「あんた誰だ?どこから入ってきた…」
『私はね、貴方を救うために未来からやって来たの。それよりどうするの?』
少年は迷ったが、このまま病院で死ぬよりマシと思い、条件を受け入れて、女が持っていた薬を飲んだ。女はまた、光と共に消えていった。
翌日、信じられない事が少年に起きた。不治の病と言われていた病気が完治している。医者は不思議がっていたが、その後、一週間程で退院した。
それから数十年、少年はすでに成人し、健康に生活をしていた。今日は会社を休み、とあるビルへと入った。
あの女からの条件で、今日のこの時間に、この場所へ来て欲しいという事だった。
受付に、あの日、薬と一緒に渡されたカードを見せると、鏡しかない、殺風景な部屋に連れて行かれた。
その部屋の向こう、鏡がある所からマジックミラーで男の姿が見える。そこには、あの女と、男がもう一人。
『どうやら到着しましたね』
女が隣の男に話しかける。
「これで妻は…」
『はい助かります。彼の心臓を摘出すれば。奥様と適合する人間は、彼しかいません。クローンが作れない特異体質です。ですが、料金次第で、何とかいたしますわ』
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