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私から仕事をとってしまうと何も残らないくらい、全てが仕事一色です。
「仕事が大好きなんですね。」
「生きるためです。」
「僕も人の事は言えませんが、頑張りすぎはよくないですよ。」
「言われなくても分かってます。」
「だから、一人旅でリフレッシュですか?」
「ええ。」
「理由が僕と一緒ですね。」
「たまたまですけど。」
「クハハハ。」
急に笑い出していました。
「なんで笑うんですか?」
「何となくです。」
私は首を傾げて不思議そうに見
ました。
2人はしばらく歩いてから一休みのつもりで畑の段差のところに座りました。
何も言わず空を見上げて星を眺めました。
「彼氏いますか?」
「え?」
突然の質問に驚き視線をジュンスに向けました。
「あ、彼氏いたら、一人で来ないですね。」
ジュンスは私に質問をしといて自分で答えて納得していました。
「失礼な。」
「違いましたか?」
「違くはないけど・・・。」
「クフフ。僕に彼女いるとか聞かないですか?」
「興味ありません。」
「あ~、そうですか・・・。」
ハスキーな声が小さくなっていました。
「聞いて欲しいんですか?」
「はい。」
「別に聞かなくても、分かりますよ。」
「どうしてですか?」
「彼女いる人が一人旅に出て、見知らぬ女を夜の散歩に誘うとは思えませんから。」
「ばれてましたか・・・。」
「ばれるもなにも、分かりますから。」
「そうですね。」
私は座っているところに生えている雑草をボーっと見ては空を見たりを繰り返しました。
「目と閉じれば聞こえてくる声。君の気持ちが、君の苦しみが僕の中のノイズのせいで聞こえなかった、ごめん、ごめんね。涙の時間が今はhistory。心配しないで~」
ジュンスが突然歌いだしました。
ハスキーな声で聞こえる音はとても綺麗でした。
私はジュンスに視線を移して歌うジュンスの横顔に見とれました。
目を閉じて静かにゆっくり歌うジュンスの声がすごく癒しをくれます。
とてもきれいな歌声が私の中の何かを溶かしているようです。
何も言わず目を閉じてジュンスの歌声に集中しました。
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