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奥にいたおじいさんがカゴいっぱいのナスを両手で持ちながら二人の所に近づいてきました。
カゴの中には大きなナスがいっぱいでした。
「あんたら、ここの人じゃないね?」
「はい。旅行で来て、この辺をブラブラしていたんです。」
私はおじいさんに会釈をしました。
「やっぱり。垢抜けた顔してるわ。」
おばあさんも近づいてきました。
「あの、都会の者で畑作業は慣れないですが、よかったら、お手伝いさせてくれませんか?」
初めて会う二人にお願いしました。
「え?やるんですか?」
隣のジュンスが驚いていました。
「あなたと一緒になんて思ってませんから。」
「そうかい、都会の人はこういうの見ないから興味深々かい。やってみるかい?」
「はい、是非。」
私はバッグを端に置いて、袖をめくって畑に入りました。
「お兄さん、彼女がやるってのに、見てるだけかい?」
おじいさんがジュンスを誘っていました。
「あ~、僕ですか?やります!」
ジュンスも袖をめくって私の後ろを追うように急いで来ました。
2人はおじいさんとおばあさんに教わりながら慣れない畑作業を手伝いました。
ずっとしゃがみ込んでの畑作業はかなりの肉体労働で汗を流しましたが、とても楽しいです。
疲れた腰を休ませるつもりで起き上がりジュンスの様子をみると、拒んだはずだったのに、私より張り切って一生懸命でした。顔には泥がついていて、おばあさんにタオルで拭いてもらったりしていて楽しそうでした。
本当に有名人なのかと疑うくらい畑になじんでいました。
笑顔がとても可愛く見えました。
「そろそろ、終わりにするか。」
おじいさんの言葉に全員手を止め、私とジュンスは先に畑から出ました。
「疲れた~。」
ジュンスが畑の周りに生えている芝の上で腕と足を長く伸ばして寝そべりました。
私はジュンスの隣に座り、カバンからデジカメを取り出しました。
自分が手伝った畑を撮り、仲良く話すおじいさんとおばあさんもデジカメに収め、そして、隣で目を閉じて寝そべっているジュンスにカメラを向けました。
よく見ると、凛々しい眉毛と、鼻立ちがとても綺麗な顔立ちでした。
カメラに収めたい衝動に絡まれ、思わずシャッターを押しました。
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