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田舎の台所は小さかった頃におばあさんの家で見た以来でとても懐かしいです。
おばあさんに調理の仕方を教わりながら夕食のお手伝いをしました。
ジュンスはおじいさんと楽しそうに話しながら夕食が出来上がるのを待っていました。
独特なジュンスの笑い声が耳に残ります。
無邪気に笑うその笑顔がまた可愛く見えました。
昨日の歌声を出す人には見えま
せん。
不思議な人・・・。
「じいちゃん、出来たから運んで下さい!」
おばあさんの声におじいさんとジュンスが台所に来て出来上がった料理を運びました。
食卓に並べられた品は今日手伝った野菜がいっぱいでした。全て取り立てです。
「いただきます!」
ジュンスが一番乗りでおかずに手をつけました。
「いっぱい食べなさい。慣れない畑作業でお腹すいただろうから。」
おじいさんとおばあさんは微笑みながら私達2人を見ていました。
「いただきます。」
私も取り立てのおかずを食べ始めました。
新鮮でとてもおいしいです。優しい味です。
「おいしい!」
ジュンスと2人でお互いの顔を見合わせながら絶賛しました。
「都会の人にこんな貧相なおかずが口に合うかどうか心配だったけど、よかったよ。」
おばあさんとおじいさんがまた微笑んでいました。
「貧相だなんて、そんな事言わないで下さい。取立ての新鮮な野菜を食べられるなんて贅沢すぎますから。」
ジュンスがリスの様に口いっぱいおかずを食べながら言いました。
私はジュンスの言葉に納得のようにごくりと頷きました。
「よかった、よかった。手伝ってくれたお礼というのもなんだが、遠慮せずにいっぱい食っていってな。」
「はい!」
2人で答えました。
「おいしかったです。ありがとうございました。」
庭に出て私とジュンスは別れの挨拶をしまいた。
2人同時に深く頭を下げました。
「こちらこそ。手伝ってくれてありがとう。」
「見知らぬ人間を家にまで招待してくれただけでも嬉しかったですよ。」
私はおばあさんの手を握りました。
「この家に人が来るなんて何年ぶりだろうね?久しぶりに人が来て賑やかになってよかったよ。」
おじいさんはジュンスの手を握
っていました。
「僕も、楽しかったです。」
ジュンスは頭を下げていました。
「また、2人で来てね。」
私が握っていた手をおばあさんがギュッと握り締めました。
「・・・はい。」
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