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やっとの思いでバス停に着き、安堵のため息をつきました。
そして、握っている手に視線が移り、二人は慌てて手を離しました。
「と、通り雨だろうから、待ちますか。」
「・・・・・・。」
ジュンスが急に大人しくなりました。
「ぬ、濡れちゃいましたね。」
「頭ビッショリ。」
お互いの姿を見て笑いました。
ジュンスの髪の毛は濡れたお陰でボリュームがなくなっていました。その姿がとても子供みたいに見えました。
「走っても意味なかったですね。」
「ね!」
私はバス停に置かれている椅子に腰を下ろしました。
ジュンスは私にバッグを返しながら私の横に座りました。
「雨が止んだら旅館に戻って早く着替えないと風邪引きますね。」
濡れた髪の毛をかきあげなら言いました。
ジュンスは私の顔をずっと見ていました。
見つめられた私は恥ずかしくなり、ジュンスのいる方向の反対の方へ視線をそらしました。
「明日帰るんですよね?」
ジュンスが静かに話し始めました。
「はい。」
「僕は明日朝一帰ります。」
「そうですか。」
「番号、交換しませんか?」
「どうしてですか?」
視線をジュンスに向き直して聞き返しました。
「また会いましょう?僕のカリスマまだ見せてませんよ。」
「一体何なんですか?カリスマって。」
眉間にシワを寄せながら言いました。
「今言っても信じてもらえないから、今度会った時証明します。」
「さっきも言ったけど、あなたがどういう人なのか私には関係ないんですよ?この旅行が終われば私とあなたはもう会う事ないんです。ここで出会った思い出なんですよ。」
「思い出だけにするのはもったいないです。」
「お互い自分の生活で忙しくてそれどころじゃないと思います。」
「いや、僕はそうは思っていません。」
何度目でしょうか。また垂れ目に力が入ります。
「・・・分かりました。」
「○月○日夜8時に、△△の広場で会いましょう。」
「どうしてそんな人が多い場所なんですか?私は人混み嫌いです。」
「人が多い方が楽しかったりしますよ。」
「・・・分かりました。」
目力に負け返事をしてしまいました。
そして、バッグから携帯を出してジュンスと電話番号の交換をしました。
「これで、見つけられなくても連絡出来ますね。」
ジュンスは納得したかのようにごくりと一回頷きながら言いました。
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