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時間に縛られる事なく過ごした旅行から数日が経ちました。
自分の世界に戻ってくると、今までの様に色々な物に縛られるけど、旅行のお陰でたまっていた物がなくなって、多少は気楽になっています。
自然に触れられ、見知らぬ人の家に行って、優しいご飯をご馳走になり・・・。
とても綺麗な歌声を聴き・・・。
綺麗な声の持ち主の手から伝わって暖かい温もり・・・。
無駄に目力を使って私を無理やり納得させた人。
無邪気に笑う時の笑顔がすごく可愛かった人。
久しぶりの男の人との接触だったからか旅行の中で一番忘れられない人になっています。
独特な笑い声と垂れ目がしばらく頭の中から離れませんでした。
でも、時間に追われる生活に戻るとだんだん薄れてきます。
不思議な人だったけど、いい思い出でした。
そして、勝手に決められた会う約束の当日。
本当に来るかどうか半信半疑ですが、私は約束の場所にいます。
旅行の後、一度も連絡は来ていません。もちろん私からも連絡していません。
確認の連絡もなく、約束の場所に行くのはちょっと気が引けましたが、あの時の彼が嘘をついているようには思えないのです。だから、半分信じて来てみました。
さすが週末という事もあって、人がいっぱいです。
待ち合わせの人がほとんど。
私は腕時計で時間を確認しました。
針は約束の8時を過ぎようとしていました。
「やっぱり、嘘か・・・。」
独り言が自然と出てきました。
自分から忙しい人だと言うくらいだし、少しだけ待ってみることにしてみました。
見渡す限り彼の姿はありません。
ため息をつきながら、建物の大きな画面を見上げました。
宣伝用の大きなスクリーンには色々なCMが映し出されています。
次から次へと変わる画面に映し出されたある人物に目が止まりました。
5人の若い男達が画面に映されています。
その中の一人、とても見覚えがあります。
一番左に映し出されている人。
そのCMは歌のアルバムのようです。
何度も瞬きをして見直しました。間違いなく一番左の人は旅行中一緒に行動したジュンスです。
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