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「何のつもりだったんですか?」
「僕の事知らないって言うから、ちょっと見せたくて。」
「は?バカですか、あなたは!」
思わず大声を出してしまいました。
「怒ってますか?」
「だから、あなたが有名人だろうが何だろうが私には関係ないと言ったはずです。見せつけて満足しました?」
「・・・・・・。」
何も返ってきません。
「失礼にもほどがある。人を誘っといて、自分の知名度を見せつけただけですか?情けない。この国では有名人かも知れないけど、他の国に行ったら、誰も気付きませんからね。」
「そ、そんな。話を大きくしないで下さい。僕はただ、知ってもらいたくて。」
「目的は何ですか?」
「・・・ありません。」
「じゃあ、もうこれで終わりですね。私とあなたは旅行先でたまたま知り合って、一日一緒に遊んだだけですからね。旅行の思い出を台無しにしないで下さい。私にとっては大切な思い出ですから。」
「ごめんなさい。そんなつもりはなくて・・・。でも、一日遊んだだけじゃないですよ。1日と半日です。」
「そんな事どうでもいいです!」
珍しくこの私が感情をあらわにしています。普段はどんな事でも冷静なのに・・・。
「あの旅行で終わりにするのは本当にもったいないと思って・・・。でも僕の事全く知らないって言うから、何だか悔しくて・・・。」
「じゃあ、目的は果たせましたね。あなたがどういう人かよく分かりましたから。もういいでしょう?今日の事は忘れますから、もうこれで終わりです!」
「忘れないで下さい。終わりにしないで下さい。せっかく僕がどういう人か分かったんなら、次はちゃんと会いましょう!」
また明るい口調になっています。
本当に不思議な人です。
「次?」
「はい。今日の埋め合わせをします。何なら今からそっちに行きます。」
「来なくていいです。」
「行きます!」
「また人がいっぱい集まったら困ります。」
「大丈夫です。ばれないようにします。」
「今さら?」
「頑張ります!」
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