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またもや、ジュンスの勢いに負け、私は川沿いに来ています。
かなり大きい川で、夜になるとカップルが点々と座っていて、帰りの時間を惜しむように話をする場所で有名なところです。
私は人があまりいない場所を見つけ、縁せきに座ってジュンスが来るのを待ちました。
この場所に着いて待つこと10分が経とうとしている時でした。
「お待たせしました!」
後ろからかん高い声が聞こえました。
声に反応して後ろを振り向きました。
細長い男のシルエットが見えました。
月の明かりでうっすら照らされた顔はジュンスだとすぐに分かりました。
片手には袋を持っていました。
私は立ち上がる事無く、ジュンスだと確認してすぐにまた川の方へ視線を向きました。
「怒ってますか?」
「・・・・・・。」
答えるのが面倒で、何も返しませんでした。
ジュンスは私の隣座り、袋を広げて私に缶ビールを渡しました。
「ビール?!」
「はい。喉渇いたので。」
「どうしてビール?」
「何となくです。」
「私に付き合えと?」
「ダメですか?」
「マイペースな人ですね。」
呆れて首を横に振りながらビールを受け取りました。そしてそのまま缶を開けて飲もうとしました。
「ちょっと待って下さい。」
ジュンスが慌てて缶ビールを開けて持ち上げました。
「乾杯しましょう!」
口元まで持ってきた缶ビールを戻しました。
「じゃあ、再会に乾杯!」
笑顔で私の缶ビールを勢いよくぶつけてきました。
しっかり持っていなかった缶ビールがその衝動に負けて私の手から落ちました。
「あ~~!」
「あ~~!」
2人同時に大声を出しました。
見事に私のスーツの上に缶ビールが転がり、中からビールがこぼれています。
2人して慌てて缶ビールを持ち上げ、横に置いて、私は立ち上がってビールをはたきました。
スカートの前がビッショリと濡れています。
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