出会い✨

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「あの、お礼はしたいけど、私はここの人ではないとさっき言ったはずです。」 「旅行ですか?」 「そうですが。」 「一人ですか?」 「はい。」 「僕もです。どこに泊まってますか?」 「どうして言わなきゃいけないんですか?」 「ホテルとかとってないで適当に来たのがここで、もしお礼してくれるなら、泊まってる所教えてくれませんか?」 垂れ目に力を入れていました。 「私と同じ旅館をですか?」 「はい。」 「空いてるかどうか分かりませんけど。」 「いいんです。」 「はあ。」 空いている自信でもあるのか大きく頷きながら私を見ていました。私は理解出来ず、開いた口がふさがらない状態でした。 お礼という事で仕方なく私はしぶしぶハスキーな声の彼と一緒にタクシーに乗って旅館に向かいました。 旅館に着くなり、私はフロントの係員にお礼を言って部屋に戻ろうとしました。 「ちょっと待って下さい。」 一緒に来た男の人が後ろからついてきて私の足をとめました。 「今度はなんですか?」 振り向いて男の人と向き合いました。 「空き部屋の確認をしてきますから。」 「ここまでの案内の話じゃなかったですか?」 「いいから、ちょっと待って。」 男の人はフロントに行って、何かを話した後、片手に鍵を私に見せながら戻ってきました。 「空いてましたよ。」 「それはよかったですね。それではごゆっくり。」 「ちょっと待って下さい。」 歩き出そうとする私をまた止めました。 「自己紹介がまだですよ。」 「はあ。」 「自己紹介しませんか?」 「・・・・・・。」 その人の顔を見上げながら首を傾げました。 「僕は、キム・ジュンスです。」 笑顔で右手を差し出されました。 つられた私はゆっくり右手を差し出し、 「私は・・・、○○です。」 自然と自分の名前を名乗りました。 「お互い一人旅だし、よろしくです。」 握った私の手を少し揺らしながら言っていました。 私は揺らされている手と顔を交互に見ました。 そして、ここから一人でゆっくり時間を過ごすはずだった私の2泊3日のリフレッシュ旅は予定外な方向へと動き始めました。
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