479人が本棚に入れています
本棚に追加
つられて自己紹介をした後、私は自分の部屋に戻りました。
ジュンスという人は私の隣の部屋に泊まる事になったようです。私の隣の部屋というのが少し気になりますが、私には関係のない人なので、一切気にしない事にしました。
自分の部屋でくつろぎ、ゆっくり過ごしていました。
時間に追われる事のないこの場所が私を癒してくれます。
何もする事がない事に慣れていない私は外を眺めたり、うとうとしたりしていました。
「何もしなくていいんだ~。」
何度もつぶやきました。
夕方になると仲居さんが部屋に夕食を運んでくれました。
一人で食べきれないくらいの品数で戸惑いましたが、全てがおいしくて頑張って食べました。
お腹がいっぱいになり、眠気が襲ってきて、またうとうとしました。
すると、ドアからノックの音が聞こえました。
「はい!」
仲居さんが何かを伝えに来たのかと思い、返事をしてドアを開けました。
「こんばんは!」
かん高いハスキーな声で明るい挨拶でした。
「なんですか?」
ジュンスがドアの向こうに立っていました。
笑顔で私を見ています。
「何してましたか?」
「別に何も・・・。」
「暇ですか?」
「別に。何の用ですか?」
「一緒に散歩しませんか?」
「嫌です。」
「どうしてですか?」
「じゃあ、聞きますけど。」
「はい、どうぞ。」
ふてくされた表情で言う私とは裏腹ににこにこしています。
「どうして私があなたと散歩しなきゃいけないんですか?」
「何となくです。」
「理由になってないので、お断りします。」
「じゃあ、どうして僕と散歩するのが嫌ですか?」
「え?」
答えが見つかりません。
確かに断る理由ははっきりとしてないのです。今日初めて会って、どういう人なのかも知らないので。
「じゃあ、行きましょう!」
「これから寝ます。」
「もうですか?早いですよ。せっかくの旅行ならゆっくり寝ないと。」
「それは私の勝手です。」
「僕は散歩したいんです。」
最初のコメントを投稿しよう!