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放課後。
教室で着替えた三人は体育館のドアを開けた。
その中を見渡し西口は楽しそうに口笛を吹いた。
「すごいな」
小林が思わず呟くのを聞きながら、大飛はギャラリーで手を振る宮本を見つけた。
その隣には哲太もいる。
西口の相棒である南原、小林の応援に来たのだろう高橋と今井もいた。
「すっげぇー人だな、おい」
後ろから大きな声がして、大飛たちは振り返ると、ハンド部が立っていた。
「いーんじゃねぇ?これくらいの方が」
「あいつらの惨めさが伝わるしなぁ」
この場役者が全員揃った。
「さぁ、試合開始だ」
一久の言葉で、会場が熱気に包まれた。
「西口が~、走り込んだ小林にパス。しかーしパスカットー!!」
手摺りをしっかりと握りしめ、宮本が叫ぶ。
「宮本、うるさいよ」
哲太の注意は呟きとして消える。
「お互いなかなか点が入らない!」
宮本の目には互角に映る。
「……お?なんで大飛あんな後ろに立ってんだ?」
「…さぁ?」
宮本に呆れながら哲太は答える。
上から見ているからわかるのだが、攻撃に転じようとしている時なのに、大飛は離れたところにいる。
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