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ハンド部はそんな大飛の動きを気にしてはいなかった。
はなから戦力外だと思っているのだろう。
「いっけー小林!」
「あ、まずい!」
哲太が声を上げる。
小林のシュートコースは読まれていた。
「お?」
宮本が呟く横で、哲太は目を見開いた。
ボールが思ったのと違う方に飛んでいく。
その先には。
宮本が身を乗り出して凝視する。
「大飛!!」
大飛が立っていた。
「飛べ!!大飛!!」
叫ぶ宮本の声とほぼ同時に、ボールはゴールに入った。
その日その後、大飛、西口、小林は何事もなかったかのようにバスケ部に入部した。
ハンド部に勝った三人は、学校で有名になった。
杉崎一久がクラスメート、負けると思わなかったのかと問われたのに対し、「彼がいたからね」と答えていたのを知らず、当人は昼ごはんを食べていた。
「なぁ、小林。あれ、入らなかったらどうした?」
あれは相手が大飛をノーマークだったし、西口が上手く二人を引き付けてくれたからできたことだろう。
二度は通じないことがわかっていての、高橋の質問だった。
「入るんだよ」
小林は淡々と言い切った。
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