飛べ!

13/14
前へ
/41ページ
次へ
「“小林昌之”の名はだてじゃないからねー」 西口はクスクス笑ったが、高橋は首をかしげた。 一方大飛は、宮本と哲太とお昼を過ごしていた。 哲太の机に三人分の弁当が乗っている。 「そーいや大飛さぁ」 口をもごもごさせながら、箸で大飛を指して宮本が切り出す。 弁当に夢中になっている大飛は、目線だけ上げる。 「何でバスケ?」 意外にも宮本は真顔だった。 大飛は口の中に残っているものを飲み込んでから口を開いた。 言い掛けて口を閉じ、大飛はウインナーにフォークを刺す。 宮本の弁当はすでに空だった。 答えを待って、大飛を見ている。 ウインナーを口に運ぼうとした手を止めて、そのウインナーを見ながら大飛は言った。 「俺の手からボールが大きく飛んでゴールに入るのが好きなんだ」 視線を下げたまま黙々とパクパクと、大飛は弁当を食べ続けた。 宮本はひたすら弁当を食べる大飛を凝視した。 「大……飛。」 「何だよ」 「かっけぇ。」 短く真顔で宮本は言った。 「な!!からかってんのか!?」 「マジで!!」 その目は確かに真剣で、偽りなく言ってるのがわかった。
/41ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加