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大飛は言い返せない。
その代わりに一言。
「嫌いだ。」
それは彼の口癖と化していた。
「なんだとぉ!オレはこんなに好きなのに!!」
宮本は半分ちゃかして、半分本気で言う。
そして大飛を抱き締める……というよりは、羽交い締めにした。
「やめろ!!」
大飛はただ思う。
(嫌いだ。)
放課後。
哲太はサッカー部に、宮本は陸上部に見学に行った。
大飛はまだ教室に残っていた。
「小林!行くだろ?体育館」
クラスメイトの声が大飛の耳に入る。
「あぁ」
小林と呼ばれた人物が返事する。
体育館でやっている部活。
大飛が入りたいバスケ部も、体育館で練習している。
大飛は二人をじーっと見ていた。
………気付いたらじーっと見られていた。
「えっと、千葉大飛だっけ?」
小林ではない方だ。
それには答えず、大飛は小林の方を見た。
「入学式のとき遅刻した奴だ」
大飛は思ったそのままを口にした。
小林を含む三人の遅刻は諸事情によりひどく目立ったのだった。
小林が不機嫌そうな顔をする。
大飛はちょっとドキッとした。
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