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大飛の通う第二中学校は、北小、東小、それから西小から半分くらいの生徒が集っている。
各小学校にはミニバスの少年団があり、大飛はそこに所属していた。
おそらく西口もだ。
大飛たちの年代でミニバスをやっていた人なら、小林昌之の名を知らない人はいないだろう。
「東小の!あの小林昌之!!」
目を輝かせて小林を見上げる。
「……体育館、行くか?」
真っ直ぐな大飛の視線に、なんだか恥ずかしいものを感じ、小林は言う。
「おう!!」
大飛は小林の隣を陣取り、意気揚々歩きだした。
西口がくつくつと笑っているのを小林は横目に見た。
“あの小林昌之”の意味を小林だけがわからない。
体育館。
バスケットボールの音が響く中、部員たちがシュート練習している。
宙を舞うボールに、床を弾むボールに、それを操る人に大飛は見入った。
体育館入り口付近で立ち止まっていた三人に、練習を中断して一人が駆け寄ってきた。
「見学?」
「いえ、入部で」
きっぱりはっきり西口は言った。
「西口……いきなりか?」
笑い混じりの小林の台詞は、その言葉とは裏腹に同意を示している。
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