は じ ま り

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「待て!!この盗人め!」 野太い男の怒声。 降り続ける雨の音。 息を切らした二人の吐息。 三つの足音。 それらが静まり返った夜が明けたばかりの町に響く。 追うのは中年の男。 終われるのは少年と青年。 男は、 自分の富のために追いかける。 少年は、 愛する人を守るために逃げ続けた。 青年は、 少年を愛したから共に逃げた。 「町の門まで もう少し。」 「ここから 逃げれたら。」 「君が 自由になれる。」 そんな少年の心を知ってか知らずか雨は強まり二人の影を消した。
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