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不覚をとった。
この俺様が配下なんぞに力を奪われるとは……。
力を取り戻すために一旦人間界に身を潜めよう。
門(ゲート)にはまだ俺様の魔力が残っているから、上位の魔物は追ってこれないはずだ。
俺様は退化してしまった肉体を懸命に動かし、門の向こうの人間界へ急いだ。
門の魔力が消える前に向こうで駒を作らなければいけない。
人間なんぞに俺様を守らせるなんてのは胸くそ悪いが、今は仕方がない。
「くそったれどもめが」
こんな状況に追い込まれた俺様はそう呟いていた。
人間にではない。
俺様を裏切った配下とそれに便乗して魔王の座につこうとしているクズな魔物たちにだ。
ようやくたどり着い門を少しためらってから飛び越えた。
魔王は俺様だ!
そう心で叫び、人間界の地面を蹴って走り出す。
人間界では大きな満月だけが俺様を出迎えた。
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