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あの日は、俺の誕生日だった。
父さんはまだ帰ってきてなくて、母さんは真面目な顔して俺にプレゼントを渡してきた。
「綺羅(キラ)、聞いてくれる…?
お父さんが、警察に捕まったの。
明日からは、お母さんと2人暮らしだからね…」
その時の俺は、中2。
もう十分にその意味がわかる年頃だった。
そして―――
「これね…お母さんの大切なお薬なの。
バレたら困るから…
ね、綺羅が
この薬隠してて?」
プレゼントの中身は白い粉。
血の気がスゥッと無くなる。
「父さんは…」
「詐欺容疑。今から警察行ってくるから、綺羅は1人でご飯食べてて?」
テーブルの上には、豪勢な母さんの手作り料理や“HappyBirthday綺羅”と書かれたケーキが置かれていた。
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