誰も知らない島

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 太陽も顔を背ける堕落と放埒の地。  未踏の島に始原の闇は彷徨う。  洞窟に響く仮面の雄叫び。  古の伝説を祭る火に歌う。  進化論を放棄した生物が闊歩する。  爛れた蟲たちが騒つき生者は慄く。  海は悪意を孕む。  霧は悪疫を撒く。  谷は悪徳を祈る。  黒く深い忘却の泥沼の畔に墓標は立ち、  白く瞬く生命の記憶は過去へと消える。  時の流れも見捨てた大地。  光も届かない最果ての島。
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