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「人は死ぬ瞬間、
どんな事を考えてるんだろうな」
ふいに思った。
それを、得に考えもせず口に出す。
「……さぁな。
そん時にならねェと分からんだろ」
そんな俺の唐突な言葉にも
きちんと返事してくれる貴方は
やっぱり優しい。
「もっと生きていたかったとか?
それとも、やっと死ねる…とかかな?」
「人それぞれだろうな」
「…土方は、どんな事を考えるかな」
興味が沸いて来て聞いてみる。
土方はタバコを口から離して、
一息ついて口を開く。
「…お前の事だろうな」
「……ぇ…」
「生きてる今でさえ、お前の事ばかり考えてんだ。
死ぬ時だって、お前を想ってるに違いねぇ」
そして ニッと笑う。
あぁ、もう。
ずるいなぁ。
そうやって貴方に
何回も何回も惚れさせられる。
「…俺だって、そうだよ。
起きてる時も寝てる時も、お前ばっかりが俺の頭ん中にいんだ。
もう…離れられそうにもねェよ」
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