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「もこちん、お散歩行くよ」
さ・ん・ぽ!?
まだお昼前
ベランダから入ってくる春の気持ちの良い風に
うとうとし始めたところに、洗濯物を干し終えたさえちゃんの突然の声
ボクはその場で跳び起きて、めいっぱい、しっぽを振った
さえちゃんがボクの首輪にリードをつけようと近付く
はやく、はやく~
「もこちん、しっぽ激しすぎ~、くすぐったいから!!」
そう言って、さえちゃんは笑ってるけど
しょうがないじゃーん
だって さ・ん・ぽ でしょ?
この言葉を聞くと勝手にしっぽが動いちゃうんだもーん!!
外に出たらまず用を足す
この植え込みも今ではすっかり指定場所
できるだけ後ろ足を高くあげて、バランスをとりながら
高く、高く
ボクの存在をアピールするんだ
でも『おおやさん』という人にはこんな姿見られないようにしないとね、
しかめっつらでボクの事を見つめるからね
「もこ、今日もいい天気だね」
見上げたさえちゃんの顔は光に遮られて見えなかったけど、きっと笑顔だ
よかった、今日のさえちゃんは明るい
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