第一話

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「もこちん、お散歩行くよ」 さ・ん・ぽ!? まだお昼前 ベランダから入ってくる春の気持ちの良い風に うとうとし始めたところに、洗濯物を干し終えたさえちゃんの突然の声 ボクはその場で跳び起きて、めいっぱい、しっぽを振った さえちゃんがボクの首輪にリードをつけようと近付く はやく、はやく~ 「もこちん、しっぽ激しすぎ~、くすぐったいから!!」 そう言って、さえちゃんは笑ってるけど しょうがないじゃーん だって さ・ん・ぽ でしょ? この言葉を聞くと勝手にしっぽが動いちゃうんだもーん!! 外に出たらまず用を足す この植え込みも今ではすっかり指定場所 できるだけ後ろ足を高くあげて、バランスをとりながら 高く、高く ボクの存在をアピールするんだ でも『おおやさん』という人にはこんな姿見られないようにしないとね、 しかめっつらでボクの事を見つめるからね 「もこ、今日もいい天気だね」 見上げたさえちゃんの顔は光に遮られて見えなかったけど、きっと笑顔だ よかった、今日のさえちゃんは明るい
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