第三話

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今日で 4日かぁ… さえちゃんとかずきの 仕事の重なる日が続くと ぼくのかまってもらえる時間がへるのだ お日様の下で おもいっきり、かけ回りたい… はぁ… それにしても今日は 二人とも遅いなぁ かずきは『びようし』だから、遅い日が多いんだけど… さえちゃんまで、こんな遅いなんて… ブルルル… ガチャガチャ かずきだっ かずきのバイクだ ぼくは、すかさず玄関のドアの前で待機 トントンッと階段をかけ上がる足音 カチャカチャ ドアが開くのと同時に ぼくは後ろ足で、立ち上がる かずきっ おかえり、おかえりっ かずきは明かりをつける 「なんだ、紗英まだなんだな」 ぼくは頭をなでてもらう くんくん かずきは、いろんな人の匂いを連れてくるけど たまに、この甘い匂いをつけてくる 紗英ちゃんの、お砂糖の甘い匂いとはちがう 花の匂いに似た、甘い香り くんくんっ、フン 「も、もこ、お腹減ったろ、ご飯の前に、ビーフジャーキー食べるか?」 かずきが、ドッグフードとおやつの入ってる ぼく専用の戸棚を開ける ジャーキー? 食べるよ、食べるよ お手もしようか? ぼくは空中で片足を 何度も、掻いてみせる 「ばぁか、そんな焦んなくたっていいって」 ギギーッ 自転車のにぶいブレーキ音が響く …あ、さえちゃんが帰ってきた
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