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※途中※
「お菓子か?悪戯か?」
意地悪な笑みを浮かべてる。けど彼の目はとても哀しい色をしていた。
「そうか……今日は……」
――思い出してはイケナイ
心の中のざわめきに、今し方浮かんだものが、かき消される。
とてつもない不安に駆られて、私は口をつぐむ。
「お菓子くらい用意してるか、と思ってたんだけどな」
熱を忘れてしまった声が私の耳をかすめる。それだけで身体が凍て付いてしまいそうだ。
「……違う。言わないで!《あの日》なんて存在しないんだから!」
「わかってるじゃないか」
まるで、今までシャボン玉の中にいたようで、ぱんっと弾ける音がした。
急に辺りがうるさくなった。……否、始めから何も変っていない。車が行き交う通り。静かなはずがない。
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