遠見 深夜

3/20
前へ
/301ページ
次へ
「行ってきまース」  何気なくドアを閉め、いつも通り、一時の別れを告げる。  変わらない速度で歩きだし、何も考えず、ただ学校に向かう。  当たり前の一日。  可笑しい所なんて何もないし、別に疑問に思う所なんてのもない。  ただ当たり前の毎日の中で、限られた時間を浪費して生きてる。  ……さっきも言ったけど、おかしいところなんて何もないんだけどね。  今日の天気は、快晴のち快晴。  あのお天気お姉さんの予報はなぜか必ず当たるから、きっと晴れ晴れとした日になるのだろう。  毎日チェックはかかさない。今日の弁当も、オレが作った。  現代で言う所の草食系男子……イヤ、オトメンか? どっちでもいいけど。  とにかく、朝方は誰よりも早く起き、天気予報をチェックし、父さんの分の弁当も作る。  それが我が家の"いつも"だ。他人に、とやかく言われる筋合いはない。  歩き始めて……十五分は経っただろうか。中間地点に差し掛かる。  そろそろアイツが、出て来る。
/301ページ

最初のコメントを投稿しよう!

284人が本棚に入れています
本棚に追加