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「シンっ、おはよう」
ほらな、出た。
学校へ向かう道へは、もう必然と言っていい程……この場所で、必ずコイツと会う。
どれくらい必ずかって?
オレが寝坊して遅刻した時は、コイツもどうしてか、一緒に遅刻したくらいだ。
待ち伏せでもされているのか? と一時期思った事もあったが……彼女の性格を考えると、一〇〇パーセント有り得ない事なので、その考えは遠い昔に捨て去った。
とりあえず、挨拶をされた。
いつものあだ名をそっと添えて、返すしかあるまいよ。
「あぁ。おはよう、お嬢様」
「次にそれ言ったら、問答無用でぶっ飛ばすからねっ?」
ねぇ、みんな。
人間は本当に怒ってる時、屈託の無い笑顔を浮かべるって知ってる?
「ご、ごめんゴメン。アスカ」
「もう……これで何回目? いい加減辞めて欲しいのよね、そのあだ名」
「いいじゃんか。アスカいじり、楽しいぞ?」
この数秒後、オレが全力疾走したのは、言うまでもない事だ。
ちなみにお嬢さ……ごふっ、ごふっ。アスカが呼んだ、"シン"って言うのはオレのあだ名だ。
"遠見 深夜(とおみ しんや)"の、"しんや"からとった、な。
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