遠見 深夜

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 挿入した。  ……靴を、ロッカーに。  この言い方だと、最近の世の中では変な意味で取られる事が多いと言うのを聞いたが、どう言う意味なんだ?  沸いた疑問を頭の中へと留めつつ、靴を上専用に履き変え、ゆっくりと教室へ向かう。  すぐに見えた階段に足をかけた。二段目を登る。 「よっす! シン!」  背後より、敵勢力。  朝っぱらから、このスーパーハイテンション。  オレの知る限り……そんなヤツは一人しかいない。 「……おぉ。おはよう、ウサ」  元気よく声をかけて来てくれた、爽やかスポーツカットの男……"佐藤 宇佐見(さとう うさみ)"。  名前だけだと、女みてーだろ?  ま、立派な男だけどね。  ちなみに同じクラス。アスカは違うけどな。 「まぁーた仲良く二人で登校ですかぃ? 旦那っ」 「ブフッ!? わ、悪い冗談言わんでくれ。こちとら朝から全力疾走だぞ? あー疲れたぁ……」 「おー、愛の追いかけっこですかい?」  あぁー言えばこう言う。  クラスに一人ぐらいはいるだろ? うざい奴。  こいつは、丸っきりそれだ。
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