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少し短い制服のスカートが、あまりの攻撃の激しさにめくれてしまいそうだったのに気付いたのか、猛攻は一時中断された。
さきほどの小さな朱色は、まるで水に落とした絵の具のように、徐々に顔全体へと拡がっていく。
……これだから、このお嬢様を弄(いじ)るのは辞められない。
「そう拗(す)ねんなってば。……じゃあそうだな、アレの名前はなーんだ?」
「え、えーっと……火星?」
再び、オレのお腹の下の辺りが小刻みに奮え始める。
火星がそんな常時見えたのならば、誰も火星接近を珍しくは思わないだろうに。
「大丈夫か? お前、ニュースとかしっかり見てるか?」
「……ニュースなんて、見たってたいしてつまらないじゃないの。あんなののどこが面白いの?」
まずは世間一般の常識からかよ……こんのお嬢様は。
「家にテレビはあるよな?」
「あるわよ。物置にあるのを合わせたら、五十は越えるわ」
「……うちには二台しかない」
少しだけ彼女は、勝ち誇ったように鼻で笑っていた。
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