underground

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2030年 世界は変わり果てていた。 アメリカ、ロシアそれにヨーロッパの各国はもはや国家としては成り立っていなかった。 また、おびただしい放射能により、アジアやアフリカにもその影響は現れ、地上の生態系は変わり果てたものになった。 人類は地下へ逃げざるを得ない状況になっていた。 私たちの学園も地下500メートルの新都市にある。 学園といっても勉強して大学へ行くなどという昔の学校とは似ても似つかない場所だ。 この学園は戦士の養成所.... それも自分の意志とは関係なく、適性検査により強制的に送り込まれる....監獄みたいなものだ。 「呉羽、どう?自信の程は。」 七海はその大きな瞳で私をじっと見た。 七海は不思議な子だ。 情報処理過程に配属され、同時に整備技術も学んでいる。 成績は常にトップに君臨しているが、その童顔が妙に可愛かったり逞しく見えたりもする。 「うん....まぁだめもとよっ!」 私は七海とは違い操縦過程に在籍している。 無事卒業できればパイロットとしての将来が待っている。 どれくらい生きられるのかわからない私の将来.... でも私は自分が生きているという実感が欲しかった。 こんな時代に生まれた事を恨んで終わるより、自分の人生を一生懸命生きてみたいから.... 私は負けたくない。
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