underground

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「呉羽ったら....」 七海は少し呆れた顔で私を見ていた。 「何かあの人見ると腹が立つのよ!」 予鈴が鳴った。 午後はシュミレーションだ。 「七海は何の授業?」 「何か新しい動力システムについてとか....じゃ、先に行くね!」 七海はいつも優しい。 誰に対しても同じように接している。 私は.... やっぱり嫌いなものは嫌いっ! 午後はシュミレーションか.... 今日は誰と組むのかな.... なんかだるいなぁ.... 「って!何であんたと組まなきゃいけないのよっ!?」 コクピットの隣には由香が座っていた。 「私が聞きたいわっ!何でこんな昆虫女がパートナーなのっ!?」 パイロットの仕事は操縦士と攻撃士に分かれる。 どちらもこなせるように左右対象に作られたコクピットで私と由香はまるで親の仇に出会ったようだった。 たまにこの女と組む不幸が私を襲う.... 「あんたたち!何を騒いでいるのっ!?」 やば.... 主任教官の里中先生を怒らせてはいけない.... 単位が貰えないと先に進めないし、下手に落第なんてしようものなら.... 先輩パイロットのサポート当番が自動的に増える.... いわば雑用係だ.... 自分の時間がなくなってしまう.... 「仕方ない....」 「一時休戦ね....」 私たちを囲んで360度に武装した敵が潜んでいるという設定だ。 敵の数は20体.... 使用できる武器は.... 追尾型ミサイルが10、これは敵を完全にロックオンしないと無駄撃ちとなる。 バルカン砲は敵のコクピットを狙わなければ効果がない。 今日はこれだけで敵の80%以上を動作不能にしなければ合格点が貰えない。 「来るわよっ!」 操縦士役の由香の声に合わせて右前方から敵のミサイルが撃ち込まれた。 急に視界が変わる。 由香は空中に跳ね上がり、着弾スレスレでミサイルをかわした。 「はいっ!」 右手の親指がコントローラーの上に設置された赤いボタンを押すとバルカン砲が発射されミサイルを撃った敵のコクピットを破壊した。 「次っ!来るよっ!」 「左後方!ロックオンしてっ!」 不本意だけど.... 由香と私の組が新人では最強だと言われている。  
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