episode1 始まりと終わり

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“JS事件”――ミッドチルダに起きた大規模テロは、かつてない爪痕を残した。その後起きた“マリアージュ事件”もまた、共通のモノが起こした事件である。 禁忌の遺産、過去の産物“ロストロ・ギア”。古代ベルカ、またはそれよりも前に生み出されただろう力は現代ではその名で呼ばれている。強大な力を持つそれは、数多の争いや悲劇を産みそれは尚も続いている。 時空管理局本局にある執務官室と呼ばれる部署。ここには様々な事件依頼が舞い込んでくる。その若き執務官であるティアナ・ランスターは、自身のパソコンを使って調べ物をしていた。  “白銀の悲劇”。ある辺境惑星においておきたそれは、未だ多くの謎を残したまま未解決となっている。詳細はこうだ。 ティアナ (古代ベルカより続く血族の末裔が多く残る管理世界“マリノア”。そこで起きた“エルフィン一家殺人事件”……被害者は名の通りエルフィンの血筋を引く人間。死体は鋭利な刃物で切り裂かれ、さらに焼却) コンソールを走る指が、まるで凍りつくような感覚を覚える。資料だけでも目をおおいたくなるような内容なのに、写真まであると流石に気が滅入る。ティアナはそんな寒気をグッと抑えてディスプレイをスクロールする。そしてそこに載っている一枚の少年の写真とあらかじめ渡された大まかな事件資料と渡されていた個人データを照らし合わせる。 ―――ロキ・エルフィン。事件被害者の一族にして今となっては唯一の生き残り
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