71101人が本棚に入れています
本棚に追加
/960ページ
アルカルト大陸にあるデルカタニア王国。その中でも南に位置するガルシア・シティと呼ばれるそこそこ発達した街を発ったのが今から丁度二週間程前になるか。
ここで語るほどでもないが、無事にスイスイ来れたとも言えない船旅をしばらく、ボンボリエ島を経由し、目指した先はサヴァ大陸。
位置はアルカルト大陸の西になるのかな。
すっかり身も心も弛緩しきっていた頃にようやく陸が見えた時にゃ涙が出そうになったわ。
なんつったって、たまに襲ってくるモンスター以外にゃ特にこれと言って好奇心誘われる物などなく、変わり映えのない風景が延々と後方に流れて行くだけなのだから。
決して狭くはない船室で、とにかく暇をどう潰すのかで頭を捻る毎日。もとから用意されていたトランプも一日で飽きる始末。
まーなんやかんやで暇は潰せたけれども。
一向を乗せた船は陽が真上に昇る頃、このワイザック・シティに到着した。
同じような料理しか食べていなかった俺はもう魚には飽き飽きしていたところ。肉が食いてえ、肉を食わせろ! 我が儘が爆発。
腹も空いたことだし手近にあった店に適当に入った……は、いいがこの有様だ。
味は良いけど集まる客のガラは悪い、どこの街でも一軒や二軒はあるそんな小さなメシ屋。
「知らないって、アンタ……。事の発端はロインのせいじゃない」
ぶぷぅっ! 余りに理不尽極まりない言動に酒を口から吹きこぼしてしまった。
「ぶふぇえええ! ここに来て俺のせいにするか!? 普通。どう見てもお前のせいだろ」
まっとうな俺の意見。しかし、
「儂から言わせてもらえば、お互い様だがミャ」
ぷくはニイナだけのせいではなく俺のせいでもあると言う。
ほほーう、いい度胸じゃねえか。
最初のコメントを投稿しよう!