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事の発端を振り返ってみるか。
店に入ると中はごくごく普通の店の造り。お隣さんの大陸って事で文化の違いは今のところ感じられない。
常連の客もいてるらしく、俺は別に構わないが、初来店のニイナにとっては居心地がやや悪そうに見えた。
それも踏まえて、奥のテーブルに席をとる。座ってから周りを観察してみれば、はは~んなるほど。ニイナの居心地の悪さがなんとなくわかった気がした。
つまりは、好奇の視線。
目立ち過ぎるのだ、俺達は。
“人語”を流暢に話しながら語尾には“ミャ”を付け、しかも“二足歩行”をしている牛柄の猫。
ケット・シーを知らない人からすればけったいな化け物として目に映る可能性がある。
加えて俺の出立ちも一目を引いている原因になっていると言われれば否定はしない。
はねた黒髪に黒瞳。自分の顔を評価するのはちとアレなのでそこはうやむやにしておくが、何と言っても身の丈を超す大剣を背中に引っ提げてるって事が一番……なのかな。
防具は普通に売ってたウォリアシリーズってやつを装備してるだけだし。
それでもウォリアシリーズはガルシアの武具屋で購入したものだからこの地にも売っているとは限らない。
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