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『ククク。邪魔をするなら下がっている方がいいぜェ、人間』
「ぬかせっ! おい、イシュカ。お前のその……竜、エーレだっけ? 口悪ぃな」
「そうか? もう慣れたけどなー俺は。さーてさて、まずは何しよっかな。おっと、そーだそーだ。なぁエーレ」
『なんだ?』
腰に手をあて、エーレさんをふり仰ぐイシュカさん。
大きさは変えられるらしいので今のエーレさんのサイズが実際のものとは違うのだろうけど、それでも胴回りはあたしの胴体くらいはあるし、体も長いのでかなり上の方に顔が位置している。
「アレやってくれよ。ほら、例の。俺にやってくれたやつ。ここにいる全員にさ。全員でなくても、見込みのある連中だけでもいいから。なっ? 頼むよ」
手を合わせてエーレさんにお願いしだすイシュカさんを、“アレ”の意味がわからないあたし達はキョトンとするほかなかった。
横ではカエルラが片手で頭を押さえて頭痛がしているポーズをとっているし。
『あのなァ……勘違いしてるようだから言っておくが、オレ様は別にお前の“モノ”に成り下がった覚えはないぞ? なんでそんな事をこのオレ様がしなくちャなら――』
「二つでどうだ」
『――っ!!??』
稲光が、エーレさんの背後に奔る。
あれ……この表現はおかしいよね? いや、でも本当にガガーンと稲光が奔ったのが見えたのよ。体から発してる紫色の雷電とは別の稲光が。
イシュカさんに二個を提示されたエーレさんは凄まじく驚いた表情を見せ、疑い深そうに首をひねり、ゆっくりと身を引く。
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