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「さすがだ。助かりそうなのは?」
『さァな……やってみなきャわからんが、ざっと半分だろ。やるぞ』
「盛大に頼む!」
イシュカさんが声を張り上げ、エーレさんの雷が一際激しくなるなりあたし達の“周囲”で小さな光の爆発が無数に起こった!
もちろんティアマトに攻撃したのではない。
ティアマトの黒の槍にやられて地に伏す仲間達ほぼ“全員”の胸に、エーレさんが弱い雷撃を与えたのだ。
するとどうだろう。
死んだとばかり思っていたあたしから一番近いところにいるエルフの上体がビクリと大きく跳ね起き、咳き込み、苦しそうなうめき声をあげて息を吹き返したではないか!
ようやく……彼らが何をしようとしているのか把握する。
荒療治にも程があるが、雷のショックを与え蘇生を行おうというのだ。
見ればイシュカさんの頬に汗が伝っていた。
「多いな……」
『やめるか?』
「バカ言うな。続けるに決まってる」
『それでこそオレ様が認めた人間だ。もう一度やる。それでも起きねェようなヤツは死んだとみなせ。いいな』
「あぁ……恩に着る」
再度辺りを白く照らす光に見舞われ、徐々に上体を起こしていく仲間達。
中でもエルフは状況判断が早く、蘇生するなり自身に回復魔法をあて、ついで他の者達にも回復をかけていってくれていた。
半数が弱弱しくふらつきながらも立ち上がりだす。この状態ではすぐに戦闘復帰は無理だろう。
だが、全員あのまま死に絶えるよりかは数百倍心が安らいだ気がした。ありがとう、エーレさん、イシュカさん。
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