71029人が本棚に入れています
本棚に追加
/960ページ
結界には……うん、さしたる被害が出たわけではなさそうである。
バリアの効果持続時間を最優先に考えたメタスガジェスの方陣魔術。
防御能はラ・ディリアに遠く及ばないまでも、それでもこの魔法で防げたって事は今の攻撃の威力が大したものでない事が伺える。
『おや、そこそこ硬いようだね。じゃぁ』
『速度は落ちるけど、威力を上げましょう』
怖い事をサラリと言ってのけるイブニフさんとアリアさん。すかさず指示を出すあたし。
「リリーナ! 結界レベルあげて!」
「はいっ!」
今度はあたしも呪文詠唱に加わった。
ラ・ディリアと同じく内と外とをほぼ完全遮断できる最強に近い防御魔法を、方陣魔術で行う事は可能である。が、リリーナはそれを唱えない。唱えられない。
早い話、覚えていないからだ。
ラ・ディリアのいいところは、さっき述べた通りある程度強力な攻撃でも軽く防いでしまう防御能力の高さにある。
しかし、一度唱えてしまえば相手からの攻撃は通じないが、こちらの攻撃をもシャットアウトしてしまうのが難点。
ラ・ディリアを発動中周りを囲まれてしまえば即アウト。
魔力消費量に負け、時間が経てば結界が解けてしまう。即ち、死。
その点メタスガジェスは防御力は弱いものの、持続時間が長く、かつ結界内からの攻撃は全て外に透過させてしまう便利な魔法なのだ。
「『ゴルドガジェス』!」
あたしがまだ唱え終えていな間に、リリーナの次なる魔法が発動される。
彼女は更にもう三枚の札を指に挟みながら印を結んでいった。
手に持つ札に描かれた魔法陣が青い光でなぞられていくと、メタスガジェスの鮮やかなシールドの外に、更にもう三枚の薄い膜が等間隔で展開された。
最初のコメントを投稿しよう!