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熱い日差しが容赦なく大地を照らしだす七月半ば。
太陽に煌めく青葉を眺めながら、少女は並木道を歩いていた。
少年のように短く切り揃えられた髪は琥珀。大地の瞳は生き生きと輝き彼女の活発さを現している。
右手首には、勾玉一つと数個の丸玉を連ねた数珠のようなものを付けている。
透明で紅いそれは、透かせば水の中から世界を見ているようだ。
ぼうっとしている彼女の背に、元気な声がかけられる。
「夢留由(ゆるゆ)―――」
振り返りかけた彼女は、とっさに身体ごと右へと避けた。
同時に今さっきまで少女がいた位置(首辺り)に、結構力の入っていそうな腕が飛んでくる。
「一学期お疲れー!!」
という言葉と共に。
間一髪で避けられた相手はもぅ、と唇を尖らせた。
「避けないでよー、愛のタックルなのにぃ」
「首狙われたら普通避けるから」
文句をいう親友にさらりと返し、少女―双林寺夢留由(そうりんじゆるゆ)は腕を組んだ。
「だいたい何でいつもいつも攻撃してくるわけ?」
「そりゃ、ゆるなら避けられるって信じてるから☆」
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